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記事紹介民法判例レビュー〔第2期〕第105回■今期の主な裁判例 [契 約]/北居 功 [担 保]/田高寛貴 [不 動 産]/山野目章夫 [民事責任]/山口斉昭 …
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判例タイムズ 臨時増刊1305号 (2009年11月10日発売)
記事紹介
民法判例レビュー〔第2期〕第105回
■今期の主な裁判例
[契 約]/北居 功
[担 保]/田高寛貴
[不 動 産]/山野目章夫
[民事責任]/山口斉昭
[家 族]/神野礼斉
■判例評釈
[契 約]
人身傷害補償保険金の支払と損害賠償請求権の減縮の有無/山本 豊
[担 保]
留保所有権者が第三者に対して負う目的物撤去義務/田高寛貴
[不動産]
売主となる者から媒介の委託を受けた宅地建物取引業者の買主に対する義務/山野目章夫
[民事責任]
飲酒運転に関与した非同乗者の責任/浦川道太郎
[家 族①]
推定相続人の廃除に関する民法892条にいう「著しい非行」/松尾知子
[家 族②]
成年後見人を特別縁故者とする相続財産の分与と成年後見人の職務/中川忠晃
判例紹介
特 報
[知的財産]
1(知的財産高裁平21.5.29判決)パシーフカプセル30mg事件
1 特許権の存続期間の延長登録出願について,薬事法14条の医薬品の製造販売についての承認(本件処分)の対象になった当該医薬品と「有効成分」及び「効能・効果(用途)」を共通にする医薬品について,先行する製造販売の承認(先行処分)が存在することを理由としてした特許法67条の3第1項1号に基づく延長登録出願を拒絶した審決には誤りがあるとして,これを取り消した事例
2 特許法67条の3第1項1号により延長登録出願を拒絶するためには,①「政令で定める処分」を受けたことによっては,禁止が解除されたとはいえないこと,又は,②「『政令で定める処分』を受けたことによって禁止が解除された行為」が「『その特許発明の実施』に該当する行為」に含まれないことを論証する必要があるとされた事例
3 特許法68条の2によって,存続期間が延長された場合の特許権の効力の範囲について,「政令で定める処分」が薬事法所定の承認である場合,「政令で定める処分」の対象となった「物」とは,当該承認により与えられた医薬品の「成分」,「分量」及び「構造」によって特定された「物」を意味するとされた事例
行政裁判例
[行政法一般]
1(東京地裁平18.8.30判決)
「留学」の在留資格により本邦に在留していた中国人女性について,「報酬を受ける活動を専ら行つている」と明らかに認められる者に該当しないとして,退去強制事由の認定,法務大臣の裁決及び退去強制令書発付の各取消請求がいずれも認容された事例
[国家補償法]
2(東京地裁平20.11.12判決)
原告が,被告Yに対する「クラブ」の未納会費の請求書を,その父親の被告Mに送付したところ,被告Mがいわゆる振り込め詐欺ではないかと考えて,竹田警察署の交番に相談し,同警察署長が被告銀行に原告の預金口座の凍結検討依頼をし,被告銀行が凍結を行ったが,請求書は正当な請求書であり,口座凍結により損害を被ったとして,被告らに対し,損害賠償を求めた事案で,竹田警察署において,被告銀行の口座の凍結依頼を行う前に,双方の説明の真偽を検討する義務があったとして,被告大分県に国家賠償法に基づき原告に生じた損害を賠償すべき義務があるとし,その余の被告らに対する請求を棄却した事例
3(東京地裁平20.11.7判決)
殺人事件につき,警察が捜査権限を行使しなかったのは違法であるとして,国家賠償請求を認めた事例
[租税法]
4(大分地裁平20.12.1判決)
農事組合法人が,金融機関からの借入金を代位弁済した地方公共団体から,求償債権の放棄を受けたことで,債務免除益が生じているとして,この免除益を益金に加算した法人税更正処分が適法とされた事例
労働裁判例
[個別的労働関係]
1(東京地裁平21.5.18判決)
新規の生産ライン開発プロジェクト業務に従事していた技術者が精神障害を発症したことについて業務起因性が認められた事例
民・商事裁判例
[民 法]
1(東京高裁平21.5.14判決)
1 土地賃借人が土地賃貸人による当該賃貸借土地所有権の取得時効を援用することが認められ,これにより土地賃借人が当該土地について土地賃借権を取得したとされた事例
2 土地賃借人について当該賃貸借土地に対する賃借権の時効取得が認められた事例
3 上記各取得時効完成後に当該土地を強制競売により取得して所有権移転登記を了した者が上記土地賃借人に対する関係で背信的悪意者に当たると認められ,土地賃借人は土地取得者に対して時効により取得した賃借権を対抗することができるとされた事例
2(名古屋高裁平20.10.23判決)
クラブを経営する会社の代表取締役が退任した際,引継義務違反があったとして民法651条2項に基づく損害賠償を求められた事案において,実質的には雇われママにすぎず,委任関係がないとして,同条項の責任が否定された事例
3(東京地裁平21.4.14判決)
テレビ番組の生中継において産業廃棄物等の収集に従事している様子を無断で全国に放送され,肖像権やプライバシー権を侵害されたとする原告のテレビ会社に対する損害賠償請求が認容され,司会のキャスターに対する損害賠償請求は棄却された事例
4(東京地裁平20.9.9判決)
携帯電話等からインターネット上のブログになされた書込によって名誉や信用を毀損されたとする者による携帯電話会社に対する発信者情報開示請求が認められた事例
5(名古屋地裁平20.7.11判決)
1 権利能力なき社団の代表者が,その構成員の言動を非難し社団の構成員でないと扱うなどした行為は,構成員の範囲の確定や活動方針の策定など社団の対内的な活動に関連する構成員に対する行為であって,民法44条1項にいう「職務の執行を行うについて」した行為に当たらないとされた事例
2 権利能力なき社団の被用者が,社団の代表者がその構成員の言動を非難し社団の構成員でないと扱うなどしたのを補助した行為は,民法715条1項にいう「事業の執行について」した行為に当たらないとされた事例
[商 法]
6(東京地裁平20.10.27判決)
1 外航船による海上運送中の貨物の損傷につき国際海上物品運送法5条1項の堪航能力に関する注意義務が尽くされたとは認められないとされた事例
2 外航船による海上運送中の貨物の損傷に係る損害賠償額について,貨物の出荷価額(FOB価格)に保険料,運送費を加算したCIF価格を基準に算出した事例
3 貨物海上保険契約の保険者に対して船主が有している共同海損分担金保証債務履行請求権を受働債権とし,保険者が保険代位により取得した船主に対する損害賠償請求権を自働債権とする相殺の可否(積極)
[知的財産]
7(知的財産高裁平20.12.17判決)キューピー商標事件
1 本件商標と各引用商標はいずれも非類似の商標であるから本件商標の登録が商標法4条1項11号及び15号に違反するものではないとした審決を取り消した事例
2 引用商標はその出願前の他人の著作権と抵触するから,本件商標が引用商標と類似すること等を理由として無効審判請求をすることができない,との主張を排斥した事例
3 引用商標においてローズ・オニールの著作物である「キューピー」の著名性を無償で利用している原告が,「キューピー」の著作権を譲り受けた上,本件商標の登録を受けた被告に対して,その無効を主張することは権利の濫用であるとの主張を排斥した事例
8(東京地裁平21.6.17判決)
昭和25年及び同27年に公開された映画の著作物につき,その著作権が存続するとされた事例
9(東京地裁平21.4.27判決)
不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為(虚偽事実の告知等)を行ったことに基づく損害賠償請求につき,原告と競争関係にない者と原告と競争関係にある者による共同不法行為の成立を認めなかった事例
[民事訴訟法]
10(仙台地裁平21.3.19判決)
船舶が最初に到達した地を管轄する裁判所に提起された,外国船籍の船舶間の公海上での衝突事故に基づく,外国法人間の損害賠償の訴えについて,我が国の国際裁判管轄が否定された事例
刑事裁判例
[特別刑法]
1(東京高裁平20.7.15判決)自動車製造会社による虚偽報告事件
1 国土交通大臣の自動車製作者等に対する道路運送車両法(平成14年法律第89号による改正前のもの)63条の4第1項に基づく報告要求が補助機関である国土交通省職員の専決により有効に行われたと認められた事例
2 道路運送車両法(同改正前のもの)63条の4第1項に基づく報告要求に対し自動車製作者の従業者が虚偽の報告を行ったとして,虚偽報告罪の成立が認められた事例
[刑事訴訟法]
2(東京高裁平20.7.8判決)
放火事件につき,被告人と犯人の同一性に合理的な疑いを容れる余地がないとはいえないとして1審の有罪判決を破棄し無罪を言い渡した事例
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